将来のための投資あれこれ・たまにねこ

リタイア後のための資産形成をインデックス投資を中心にしています

短期投資は必要か

 短期投資とは、ここでは数日間や数週間といった、比較的短期間の中で売買する取引のこととします。結論から言うと老後やリタイア後の資産形成を目的とした投資・資産運用の場合、『全く不要』だと私は思います。

 もちろん、投資は自己責任ですし、自分のお金なので短期投資をしたい方はすれば良いと思います。短期投資人気も根強いですし、古今東西ずっと論争が続いているので普遍的な結論がでるものではないと思いますが、『自分の』結論を持つことは重要だと思います。

 

 私が短期投資は不要との結論に至った理由は以下の通りです。一言で言うと『儲からないから』になります。

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将来の価格がどうなるか?分からないと儲からない

 短期売買で利益を得るには、売りと買い、2つのポイントを見極める必要があります。安い時に買えても高い時に売れなければ儲かりません。逆に、高い時に売れても安い時に買えなければ儲かりません。将来の価格がどうなるか分からないのですから、売りと買い、それぞれのタイミングを当てられる確率を50%(当たる確率と当たらない確率半々)としても、両方当てられる確率は25%です。私は25%の勝率に自分の大切な資産を投資するつもりはありません。それなら余計なことをして税金を取られるより、そのままホールドしておいたほうが良いとなります。

 

将来の価格がどうなるか?分かる方法はあるのか

 分かる方法があればもう広まっています。世の中にはこれ専門のプロが資本主義が浸透してきたころから研究しています。今でも証券会社、投資会社に勤めて専門でやっているプロの方もたくさんいますので、分かるならこういった方々がとっくに実践して利益をだしています。

 また、一般的な企業に勤め、ある程度の立場になった方なら、自分の会社や組織の売り上げ、利益予想をしたことがあるはずです。そして痛いほどわかっているはずです。いかに売り上げ予想、利益予想が『単なる予測』でしかないことを。事情を良く知っている自分の会社、組織の予想ですらそうなのだから、他の会社の予想なんてIR情報や財務諸表をいくら読み込んでも将来の売り上げや利益なんて正確に予測できるわけがないんです。

 (財務諸表を見ることを否定しているわけではないです。財務諸表を見ることはその企業の状態を知るうえで大事なことです。)

 そして、株価はこういったあやふやな情報や、各種メディアが視聴者の興味を引くだろうと思う記事やコンテンツ情報などをもとに、市場の需要(買いたい人)と供給(売りたい人)のバランスで価格が決まります。こんなものの価格が予想できる方法は現時点ではないと思います。

 

テクニカル分析を使えばわかるのでは?

 移動平均線ボリンジャーバンドMACD、RSI、ゴールデンクロス、、いろいろ言われますが、これらは過去の情報を視覚化して傾向を分かりやすく表示してるだけです。しかも事実はあくまでたった一つです(例えば、リーマンショックがなかったらどうなったか?、トランプが再選したらどうなったか?なんてわかるわけではないので)。

 たった一つの事実(日々の値動き結果)を視覚的に分かりやすく傾向を表示しているにすぎないものから、どうして未来の価格が分かるのか?全く論理的な説明はできません(少なとも私にはできません)。

 また、価格を決めるのに大事なのは、それらの視覚的に分かりやすくなった傾向そのものではなく、それを見て投資家がどう動くか?なので、行動心理学に近い分野だと思います。人の感情を測定するセンサーやAIが進歩・普及し、行動心理学の観点から人の心情がどう動くのか?を分析できるようになれば信じるかもしれませんが、テクニカル要因だけで売買している人は少数派で、多くの方はファンダメンタルや、ざっくりとした将来予想(巣ごもりが増えれば、ネットビジネスは有利だよねーとか)で売買していると思いますので、株価を予想するには、これらもデータ化する必要があります。これらがデータ化でき、分析できるようになるのはいくら技術の進歩が速いといってもまだまだ先だと思います。

 将来のことはさておき、今時点ではとても自分の大切な資産を投資する判断材料にはなりえません。

 また、残念なこと?に、仮に将来、これらが予想できるようになったとしても、それは株価にすぐに織り込まれるようになるだけですから、またその状態をもとにした新たな予想合戦になるだけだと思います。

 

結論:短期投資は不要

 将来の価格は分からいのだから、短期投資で儲かる可能性はかなり低い。それなら、世界中の人が自分の会社や自分自身の収入を増やして、経済的に豊かになろうと努力している(自分の会社や自分の利益を減らすために努力する人は皆無)、その結果、長期的には世界経済は成長していき、長期インデックス投資はその恩恵を得る。ということに投資するほうが、短期投資よりよっぽど勝率が高いです。

 また、短期投資はどうしても自分の時間をとられます。それなら、短期売買が趣味とかでもない限り、自分の時間も有益に使える長期インデックス投資のほうが良いと思います。

 うだうだ書いてしまいまたが、テクニカル分析による短期投資が不毛なことを『投資で一番大切な20の教え』(ハワード・マークス)で、端的に表現している文章がありますので、それを引用しておきます。デイトレーダが主語になっていますが、短期投資も一緒だと思います。

※一番大切って言っておいて、20個もあるのかよ。ってツッコミたくなるタイトルの本ではありますが、この本もとても良い本だと思います。

 

〜引用文〜

 ”このような方法で儲けようとする人のことが、私には全く理解できない。これでは次の角を曲がって現れる人の性別を当てようとするのと変わらない。デイトレーダーは、ある株を10ドルで買って11ドルで売り、翌週に24ドルで買い戻して25ドルで売り、さらに一週間後に39ドルで買って40ドルで売る、といった取引をしたときに成功と思うらしい。30ドル値上がりした株を売買したのに、3ドルの利益しか得ていない、ということに気づかない人は、これ以上、本書を読むべきではないだろう。”